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骨シンチスキャンからみた腰椎前方固定におけるブロック状移植骨の運命
村山 憲太竹内 孝堀田 とし子
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1998 年 52 巻 2 号 p. 77-81

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抄録

ブロック状移植骨の運命を知る為に, 腰椎前方固定に用いた一対の移植骨の癒合過程を骨シンチグラムで経時的に検討した. 集積は移植後1ヵ月以内では移植骨と母床の接触面に濃くみられ, それから移植骨全体に拡がり, 1年後にはまだ中心部に残存するが, 2年以内に正常域に復する. 骨癒合の非順調例では濃度は経時的に増加ないし非減少の傾向を示し, 移植後3年以上経過しても減少はみられなかった. このことからブロック状移植骨の運命は, 骨シンチスキャンの集積経過より3群・6型に分類された. 移植後3ヵ月から6ヵ月の間で集積が減少しない, 或いは増加する症例は, 骨癒合の遅延や偽関節になる傾向を示した. したがってこの期間は移植骨が新しい骨として力学的強度を獲得するために, 重要な期間であると思われる. 移植骨の骨誘導は, 移植骨に貫通した穴を開けることにより促進されることが推定された.

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