医療
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前立腺癌における血中I型コラーゲンC端テロペプチド測定の意義
井口 厚司塚原 常宏森田 一喜朗
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キーワード: ICTP, 前立腺癌, 骨転移
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1998 年 52 巻 5 号 p. 298-301

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抄録
前立腺癌患者の骨転移の診断において, 血中I型コラーゲンC端テロペプチド(ICTP)の臨床的有用性について検討した.
前立腺肥大症17名, 骨転移のない前立腺癌10名, および骨転移を有する前立腺癌7名に対して, 治療前にICTPを測定した. 骨転移を有する前立腺癌患者7名のICTP値は5.3~13.2ng/ml(平均8.7±3.2ng/ml)で, 前立腺肥大症17名の1.0~5.9ng/ml(平均3.1±1.4ng/ml)および骨転移のない前立腺癌患者10名の1.9~4.9ng/ml(平均3.4±1.0ng/ml)と比べて高値を示した. また, 骨転移を有する前立腺癌患者7例中5例において内分泌療法施行後3ヵ月目にICTPの測定と骨シンチグラムを再検し, 全例ICTPの低下と骨シンチグラム上の転移巣の改善が認められた. これらの結果から, 血中ICTP測定は前立腺癌の骨転移の診断および治療経過の観察に有用であると思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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