医療
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C型慢性肝炎における血清中抗体非結合HCV/抗体結合HCV比の臨床的意義
矢倉 道泰村居 晴洋小島 博時田 元上司 裕史原田 英治斎藤 昌三栗原 千枝石山 業弘安藤 崇男福士 秀悦片山 和彦
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1998 年 52 巻 5 号 p. 293-297

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抄録
C型肝炎患者の血中には抗体と免疫複合体を形成して感染性を失ったHCV(IC-HCV)とフリーのHCV(F-HCV)が存在する. HCVの肝障害におけるF-HCVの量比とTotal HCV-RNA titer (T-HCV)やALTとの関係を3例のC型肝炎患者(自然経過例1例, IFN投与例2例)についてImmunoabsorbed Multicyclic RT-PCR法(IMRT-PCR法)を用いて解析した. その結果, 全例F/T比とALTおよびT-HCVが連動して動き, ALTの上昇に先行してF/T比が高値を示した. HCV-RNA量はIFN投与2例ともIFN投与中, 感度以下にまで低下したが投与終了後, 投与前値にまで再上昇した. ALTが正常化した不完全著効例ではIFN投与後, F/T比の変動はみられたもののその変動は比較的緩やかであった. 無効例ではALTはIFN投与により一旦正常化した後, F/T比の急な立ち上がりに引き続いてALTの再上昇がみられた. 以上, F/T比が上昇した後に連動してALTおよびT-HCVが上昇することから, F-HCVの増加が肝細胞障害に関係していると考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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