医療
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筋ジストロフィー在宅患者が抱える諸問題とニーズの把握
鴻巣 武斎藤 博
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1998 年 52 巻 5 号 p. 316-320

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抄録

筋ジストロフィー在宅患者121名を対象に, 患者背景, かかりつけ病院, ADL, 介護・福祉サービス利用など30項目以上からなるアンケート調査を行った. 有効回答93通(77%)の主要な解析結果は, (1)患者の61%は日常生活に介助を要する中等ないし重度の障害を有したが, 26%はかかりつけ医をもたなかった. (2)34%は家庭内に介護人がおらず, 6%は一人暮らしであった. (3)保健婦・ヘルパーの利用は9%のみであった. (4)61%が病気や急変時の問題家庭および社会的悩みを有したが, 30%は相談相手がいないと答えた.(5)33%以上が訪問医療を希望し, とくにDuchenne型(DMD)と先天型, および重症患者で要望が有意に高かった. 以上より, 在宅患者が必ずしも入院患者より軽症ではないこと, および医療・福祉サービスとその情報提供が不充分なことが示された. 今後は国療の役割を明確にしつつ, 病院, 医院, 公的福祉機関とのネットワークを構築することが重要である.

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© 一般社団法人国立医療学会
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