抄録
平成5, 6, 7年度スモン調査研究班医療システム分科会でのスモン患者検診実数1,672例中, 発症年齢が幼年期の10歳以下は8例, 少年期の11-20歳は51例, また21-25歳の青年期の発症者は69例であった. 若年期発症スモン患者の病像は, 成人期発症群と大きく変化はなかったが, 痙縮を示す例, 異常感覚の軽減例が多く, 高度の歩行能力低下例は少なかった. 10歳以下発症者は成人期発症群より, 視覚と移動能力障害が重篤な症例が多かった. いわゆる成人病の合併は若年期発症群には少なかった. 骨・関節系疾患の合併は成人期発症群と有意な差はなく, 神経症状に起因する運動障害がもたらすものと考えられた. 若年期発症群はADL良好な患者の比率が高かったが, 未婚率が高く, 今後介護上の問題をきたす可能性が考えられた.