医療
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小肝癌発見のための患者登録への取り組み
生島 葉子広瀬 千恵子
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1999 年 53 巻 1 号 p. 49-55

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抄録
日本では肝細胞癌(肝癌)の発生率が高く, 近年増加傾向を示している. 当院の位置する徳島県板野郡もC型肝炎の多発地区であり, 肝癌および肝硬変による死亡率が高い. 径2cm以下の小肝癌はそれ以上の症例に比べ有意に生存率が高いとされており, 早期発見と早期治療が予後を左右する重要な要素である. そこで我々は肝癌発生の高危険群である慢性肝疾患患者をコンピューターに登録し, 定期的に血液および画像検査を行うシステムを考案し, 施行した. 1995年7月から1997年12月の2.5年間に登録数は351名におよんだ. この期間中, 登録の有無にかかわらず新しく発見された肝癌症例数は49例であり, 21例(43%)が主腫瘤径2cm以下の小肝癌であった. このうち86%(18/21)は登録患者に発見されたもので, 当院の慢性肝疾患患者登録システムは小肝癌の発見率を高めることに効果を挙げていると思われた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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