医療
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移植後免疫抑制法の基本
鈴木 盛一
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1999 年 53 巻 3 号 p. 205-210

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抄録
免疫抑制剤を作用機序から分類すると, (1)サイトカイン産生阻害剤, (2)核酸合成の阻害剤, (3)ステロイド剤, (4)生物製剤, (5)そのほかということになる. (1)としてはシクロスポリンとタクロリムスが有名で, 両者ともヘルパーT細胞からのIL-2の産生を抑制する. (2)にはアザチオプリンとミゾリビンがあり, 前者はプリン合成の阻害剤であるが, リンパ球のみならず多くの体細胞でも阻害するため副作用が問題となり, 後者はプリン合成のデ・ノボ系のみを阻害することからリンパ球に特異的である. (3)の代表としてプレドニゾロン, メチルプレドニゾロンなどがあげられ, IL-1, IL-2, IFN-γなどの産生抑制のほかに抗炎症作用を有し, 大量ではリンパ球にアポトーシスを誘導する. また, (4)に含まれるものは, ヒトのリンパ球を馬などに免疫して得られた抗ヒトリンパ球ポリクローナル抗体ALG, ヒトCD3に対するマウスのモノクロナール抗体OKT3など, (5)には塩酸グスベリムスがあるが, その作用は未熟な細胞障害性T細胞が成熟する過程を抑制するとされる. 通常, 移植後の免疫抑制にはいくつかの薬剤を組み合わせた併用療法が行われる.
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© 一般社団法人国立医療学会
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