医療
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気管支喘息治療の動向
長谷川 眞紀
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2000 年 54 巻 7 号 p. 295-299

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抄録
近年, 気管支喘息は, 単に気管支平滑筋の攣縮による気道の閉塞という機能的な疾患ではなく, 気道壁への炎症細胞の浸潤, 気道粘膜の剥奪, 基底膜の肥厚といったリモデリングを含めた病理学的な基礎を持った疾患であるという認識が一般的となった. それにともない治療法も気管支拡張薬を中心とした治療から, 抗炎症薬を中心とした治療へと変遷した. 最近諸外国, 本邦で発表された各種ガイドラインでも, 抗炎症薬を長期管理薬とし, 気管支拡張薬を発作治療薬として, その使用法を解説している. 一言でいえば, 充分量の抗炎症薬を定期的に使用し, 発作治療薬の使用を制限量以内にして, 満足できる症状のコントロールを得られるように治療戦略を立てるということであると思われる. この治療法の効果はめざましく, 重症発作で救急外来へ受診する患者や, 発作のため入院を要する患者数は激減している. この稿では最近の喘息治療の考え方について述べる.
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