医療
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乳癌における色素法による「見張りリンパ節」同定による腋窩リンパ節廓清の是非
秋山 憲義濱田 利徳仙石 紀彦二渡 信江小倉 直人三重 野浩明木村 徹西山 保比古雨宮 明文金田 悟朗門脇 憲高橋 俊毅日吾 雅宜古谷 能祥佐藤 俊行
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2000 年 54 巻 7 号 p. 300-303

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抄録
乳癌におけるSLN(sentinel lymph node: 見張りリンパ節)検索による腋窩リンパ節廓清の省略の可能性を検討した. SLN同定には色素法を用い, 31例中27例(87.1%)にSLNを同定し得た. SLNにより腋窩リンパ節転移は27例中25例(93%)で推定できた. NO症例(20症例)に限定すると偽陰性例はなく, SLNにより腋窩転移の推定は100%となった. すなわち, NO症例に限定すると, SLNの結果により, 腋窩リンパ節廓清の省略の判断は可能と考えられた. さらに, SLNの術中診断を考え, SLNの転移診断における捺印細胞診の有用性を検討した. 全20例での捺印細胞診と組織診の一致率は90%で, NO症例に限ると92%であった. SLNの捺印細胞診の結果は腋窩リンパ節廓清の省略の指標になる可能性を示唆しているが, さらに, 症例の蓄積による検討が必要である.
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© 一般社団法人国立医療学会
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