医療
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トラニラスト服用中に生じる膀胱刺激症状
斎藤 誠吉村 将藤井 昭男岩井 章洋
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2000 年 54 巻 8 号 p. 361-364

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抄録

経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty: PTCA)後再狭窄予防でトラニラストを投与し, 膀胱炎様症状を呈した1例を経験した. 症例は59歳の男性, 冠動脈造影の結果, 三枝病変と診断された. このうち左前下降枝(LAD7番)対してPTCAを施行し, 開大に成功した. PTCA後, 再狭窄予防の目的でトラニラストの内服を1日600mg開始した. 15週間後排尿痛を訴えたため, 膀胱鏡で確認したところ膀胱粘膜に浮腫が認められた. 直ちにトラニラストが中止され, 3週間後に症状は消失した. トラニラストによる膀胱刺激症状はすでに泌尿器科医および薬剤師の各学会誌などには数多くの報告がなされている. しかし処方する側の循環器医には認識が乏しいという独特の副作用報告体系を持つ薬剤のひとつである. われわれは改めて本剤による膀胱刺激症状を循環器医に知らしめるとともに, 薬剤師が服薬指導を通じてさらに一層の情報提供をこころがけなければならないと考える

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