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強酸性水を用いた院内環境整備とMRSA院内感染防止対策
佐々木 理恵川崎 純子古川 勤重藤 紀和切替 照雄
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2002 年 56 巻 6 号 p. 363-370

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抄録
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下MRSA)を中心とする院内感染防止対策として当院では1999年12月より強酸性水を用いた院内環境整備に取り組んでいる. 当院の2000年4月の平均入院患者数(75名)に占めるMRSA保有率が約30%にも及んでしまったことを契機に院内で統一された環境整備マニュアルを作成し, 細菌学的環境調査を行ってその成果を確認した. 気道内吸引後のカテーテルの処理など看護手順についても実際に培養検査を行って検討し, 改善している. 院内で分離されたMRSA株の分子疫学的検討では, 2000年度はまさしく院内感染が示唆されたが, 引き続き院内感染対策に取り組んだ結果, 院内環境からMRSA菌は消失した. 2001年9月のMRSA株の検討ではアウトブレイク型のMRSAは9株のうち2株にまで減少し, MRSA院内感染がようやく終息に向かっていると考えられる結果が得られた. MRSA院内感染対策としては, ウエルパスによる手指消毒を含めた衛生学的手洗いの励行が最も重要と考える.
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© 一般社団法人国立医療学会
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