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アルツハイマー型痴呆患者における血清抗コリン活性測定の意義
堀 宏治冨永 格織田 辰郎金 廣一小西 公子
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2004 年 58 巻 10 号 p. 563-568

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抄録

アルツハイマー型痴呆(AD)患者における血清抗コリン活性(SAA)測定の意義とその測定についての実際を総説した. レセプターバインヂングアッセイを用いて簡便測定法の報告以後, SAAは血清中の抗コリン機能を持つ薬物およびその代謝産物の抗コリン活性の総和を表したものとされ, 主に, 薬剤起因性のせん妄との関係あるいは非痴呆症例を対象として認知機能との関係で論ぜられてきた. しかし, 白血球の上昇, 感染, 発熱性疾患で上昇することなどから, SAAは疾患に関する非特異的ストレス反応と関係が示唆されている. ADにおいては内因性の抗コリン活性が上昇すること, 免疫系の異常が示唆されることから, 内因性の抗コリン活性がアセチルコリン系の機能低下を引きおこし, ADの認知機能のみならず精神症状, 行動症候などの行動心理学的症候と関係していると判断され, ADを対象としてSAAを測定することの意義があると考えられる.

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