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鼠径ヘルニアにおける腹腔鏡下対側検索の客観的判定法の検討
矢加部 茂山内 健村中 光
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2004 年 58 巻 10 号 p. 581-584

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抄録

【目的】鼠径ヘルニアにおいて対側予防手術の決定のための客観的判定法としてスケール付きゾンデによる腹腔鏡下対側検索を行った. 【対象と方法】1997から2003年までの1歳以上の鼠径ヘルニア89例(男42, 女47)に対して従来の腹腔鏡下対側検索に加えて反対側上腹部に14G静脈留置針にて穿刺し, 簡単な目盛りを入れたゾンデを挿入して腹膜鞘状突起の長さを測定した. 【結果】10mm以上を陽性と見なした場合, 腹腔鏡検索89例において36例(40.4%)で陽性であった. 特に症例の多い1歳から4歳まででは1歳代が陽性率が高く25例中15例(60%)が10mm以上であった. 続いて2歳代24%, 3歳代36%, 4歳代で36%の症例で陽性と判定した. 【結論】われわれの行っているスケール付きゾンデによる腹腔鏡下対側検索は従来の腹膜鞘状突起の開存の有無を見るだけでなく, 長さが測定可能で, 一定基準に達した長さの症例に対しての予防手術が可能のみならず判定困難な症例にも有用であった.

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