2004 年 58 巻 10 号 p. 589-594
平成14年12月から平成16年3月まで, 在宅療養している2名のALS患者に対してインターネットを利用した医療支援システムを導入しその効果を検討した. 支援システム用のホームページに患者は自分自身の健康状態を入力し, 後に医師と看護師が患者の健康状態を閲覧した上でそれに対するコメントを記入した. このやりとりを約28ヵ月間行ったが, インターネットを利用したことで時刻や場所に制限されることなくほぼ連日入力できた. 患者・家族へのアンケート調査の結果, 患者や家族は安心感を得ておりシステムに満足していることが示された. 患者個人情報の漏洩はなかった. 患者QOLの評価はALSAQ40を用いて経時的に行った. 患者の重症化とともに合計点は増加したが, emotional functionの点数は他のドメインと比較して増加していなかった.
これらの結果から本支援システムは在宅支援に有用であると考えられた. 今後はより多数の患者を対象として, システムの有用性や個人情報の安全性にっいての確認が必要である.