医療
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感染症患者検体の検査について
田中 司永井 正樹
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2004 年 58 巻 3 号 p. 168-172

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抄録

2002年11月, 中国広東省においてoutbreakした重症急性呼吸器症候群(SARS; Severe Acute Respiratory Syndrome)は, ベトナム, 香港, カナダなどを中心に世界的な感染の拡大を認めた. WHOによると2003年7月末までに8,088名の患者が報告され, そのうち774名の尊い命が奪われている. 迅速かつ正確なSARSコロナウイルス特異的病原体検査の開発が, 各国の研究者らによって進められておりますが, 未だに標準化された方法は確立されていない. 現時点ではPolymerase chain reaction (PCR)や免疫血清学的な抗体検査などが中心となっているが, どの方法も発展途上にあるため感度や特異性などの点で問題を残しているのが現状である. このような感染症における診断, 治療および感染対策を実施する上において, 臨床検査の果たす役割は非常に重要である. とくに感染対策においては診断確定が迅速かっ効率的に行われることが必要であり, 多様化した検査の選択, 実施体制等を入念に検討し実践することが重要と考える.

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