抄録
国民の医療の質や安全性についての関心が最近非常に高いことはいうまでもない. 国立病院・療養所はまもなく「独立行政法人国立病院機構」として生まれ変わり, 良質で安全な医療を効率よく提供することが期待されている. それに向けてわれわれは臨床評価指標(clinical indicator: 以下CI)の作成と導入を始めた. CIは医療活動のアウトカムを数量的に評価して質の改善に役立てるものであり, 欧米では以前から用いられてきた. しかし,わが国ではまだ一部でしか試用されていない. 本シンポジウムでは, 医療政策の立案・研究者, 施設長, 医師, 看護師のそれぞれの立場からCIについて議論していただいた. 国立保健医療科学院の長谷川部長は, 「CIは病院経営者にとっては優秀な医療従事者を公平に評価して処遇するために必須であり」, また「医療従事者にとってはみずからのサービスを点検する良いベンチマークである」. さらに「患者にとってはよりよい専門家を選択する有用な情報となる」ものであり, 国立病院機構がCIの活用により日本の医療界をリードすることを期待すると述べた. 西間院長は施設長の立場から, 免疫・アレルギー, 重症心身障害, 成育医療の3分野を例にとりCIの意義と限界につき考察し, 国立病院機構はCIの導入と絶えざる改良, 血の通った評価と活用によってはじめて生き残ることができるとした. 次に藤兼部長は, CIについての呼吸器ネットワークのアンケート調査をふまえてCIが有効になるには現場の理解と支持が不可欠であると述べた. また, 栗田部長は, がん診療の立場からCIの重要性とまたCIを集める基盤として施設内のデータベースの整備が前提であることを強調した. 最後に, 小山看護部長は, 看護の立場からIC19IC9と看護度の条件を加えた臨床評価指標やデータの一元化のための品質管理部の設置を提言した.