抄録
当院において2004年度の市中肺炎と診断され入院した30症例を対象とし, 臨床的検討を行った. 性別は男性18例, 女性12例で, 平均年齢は73.21±17.15歳であった. 入院時胸部CTを撮影したのは28例であり, 両側肺に浸潤影を認めたのは18例(64.3%)であった. 日本呼吸器学会による市中肺炎重症度判定基準によれば, 軽症3例, 中等症21例, 重症6例であった. 起炎病原体についてはHaemophilus influenzae, Streptococcus pneumoniaeが各々4例で, 最も多かった. 肺炎の治療経過中に死亡した症例は4例(13.3%)であった. 平均年齢は83.5歳で, 基礎疾患として4例とも高度の認知症があった. 肺炎難治例を退院困難な症例と再入院を繰り返す症例と定義すると, 3例あり, 平均年齢は78.3歳で, すべて高度の認知症があった. 今後, 認知症症例の肺炎治療は重要な課題である.