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肺原発が疑われた悪性黒色腫の1例
北村 慶吉廣 優子松元 恵輔副島 佳文河部 庸次郎福井 健一郎岩永 彩豊岡 辰明内藤 愼二
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キーワード: 悪性黒色腫, , S-100, HMB45, vimentin
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2005 年 59 巻 11 号 p. 617-621

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抄録
肺原発の悪性黒色腫はきわめて稀であり, 今回, 肺原発と考えられた悪性黒色腫の1例を経験したので報告する. 症例は48歳, 男性. 健康診断の際, 胸部X線写真にて左肺門部の異常陰影を指摘され精査目的にて当院呼吸器科へ入院. 入院時の胸部CTでは, 左舌区の腫瘤影とその周囲および右肺野に多発性の小結節影が認められた. 気管支鏡検査では, 左B4を閉塞する褐色調の腫瘍病変を認め, transbronchial lung biopsy (TBLB)を施行した. 病理組織にて, 好酸性大型の核小体を有する類円形の異型細胞の増殖が認められ, 腫瘍細胞およびその周囲のマクロファージの胞体にメラニン様顆粒が観察された. 腫瘍細胞は免疫組織化学にてS-100, HMB45, vimentinが陽性, LCA, keratin, EMAが陰性であり, 以上の所見より悪性黒色腫と診断した. 本症例は腹部のCTにて肝に転移を疑う所見が認められるものの, 皮膚を含むその他の臓器に原発となる色素性病変がなく, またその切除既往もないことから肺原発の悪性黒色腫と考えられた.
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© 一般社団法人国立医療学会
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