医療
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多系統萎縮症における転倒・転落の特徴
橋口 修二乾 俊夫
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2006 年 60 巻 1 号 p. 33-36

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抄録
厚生労働省精神・神経疾患研究委託費(15指-3)「政策医療ネットワークを基盤にした神経疾患の総合的研究」班(主任研究者, 湯浅龍彦)に所属する転倒グループ7施設の共同研究をもとに, 多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)における転倒・転落の特徴について検討した. 外来MSA患者の転倒・転落頻度は進行性核上性麻痺より少なく, パーキンソン病とほぼ同程度であった. また, MSAの転倒・転落は, 臥床レベルにある患者ではみられず, 日中に多く, 深夜帯に発生しなかった. 入院MSA患者は排泄行動時にベッドサイドで転倒・転落が多かったのに対し, 外来MSA患者は道路と居間で転倒し易かった. MSAの病型では, 線条体黒質変性症型よりオリーブ橋小脳萎縮症型の転倒が多く, オリーブ橋小脳萎縮症型ではバランスを崩して後方へ転倒しやすかった. MSAでは, 自律神経症状である頻尿や尿便失禁が合併すると転倒が多い傾向にあった.
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© 一般社団法人国立医療学会
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