病院の火災安全性については, 数多くの不確定要因や問題点がある. 大規模病院病棟に関する避難安全計画の現在の標準的な考え方を, その問題点とともに解説し, 従来の防災計画の弱点を克服しながら, 医療施設に相応しい生活空間を模索した事例を紹介する. 病院の火災安全性を巡る問題点の多くは, 病院の基本的な管理状況が建築・防災側で理解されていない点に由来すると考えられるので, 機能的な病院の防災・危機管理を確立するためには, 病院・建築計画・防災のそれぞれの協力が必要である. その協力の具体的方向性についても提言した.