医療
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60 巻, 2 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 長谷見 雄二, 土屋 伸一
    2006 年 60 巻 2 号 p. 73-77
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    病院の火災安全性については, 数多くの不確定要因や問題点がある. 大規模病院病棟に関する避難安全計画の現在の標準的な考え方を, その問題点とともに解説し, 従来の防災計画の弱点を克服しながら, 医療施設に相応しい生活空間を模索した事例を紹介する. 病院の火災安全性を巡る問題点の多くは, 病院の基本的な管理状況が建築・防災側で理解されていない点に由来すると考えられるので, 機能的な病院の防災・危機管理を確立するためには, 病院・建築計画・防災のそれぞれの協力が必要である. その協力の具体的方向性についても提言した.
  • 松本 純夫
    2006 年 60 巻 2 号 p. 78-81
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    胆嚢摘出術に始まった腹腔鏡手術は低疼痛, 低侵襲であり早期の日常生活への復帰が可能であるため治療手技として社会に認知されるようになった. 急速な適応拡大の途中大きな医療過誤が発生した. その理由として技術の未熟な外科医が術者として手術にかかわったことが大きくとりあげられ, 日本内視鏡外科学会でも安全な手術を広めることが重要な施策と考え, 技術認定を行うこととなった.
  • ―福岡県下の患者アンケート調査から―
    上釜 光輝, 藤井 直樹, 橋本 誠, 志風 政光
    2006 年 60 巻 2 号 p. 82-86
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    障害保健福祉制度の改革を控え, 筋ジストロフィー患者ことに在宅筋ジストロフィー患者の療養の向上のために, 患者の在宅での生活実態を把握し, 問題点とニーズをさぐる目的で, 福岡県下の在宅筋ジストロフィー患者および長期入院療養中の患者にアンケート調査を行った. 筋ジストロフィー協会加入の有無また在宅か入院かの療養形態の違いにより, 患者の情報取得に格差があり, ニーズや満足度が異なった.
  • ―国立病院機構松籟荘病院における22症例の検討―
    藤本 雅哉, 金 英浩, 村田 昇, 宮本 敏雄, 瀧本 良博, 速水 大輔, 廣瀬 棟彦, 奥田 純一郎
    2006 年 60 巻 2 号 p. 87-91
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成12年4月1日より施行された改正精神保健福祉法は, 第34条に医療保護入院等のための移送制度が新たに規定された. 当院では平成13年10月17日に第1例目の移送制度による搬送がなされ, 以後平成15年度までに計22例の入院があった. 全例とも入院治療開始後は精神症状が改善し, 退院した20例の平均入院期間は約4ヵ月で, 治療に難渋した症例はなかった. 平成16年6月末現在入院中の2例も軽快傾向にある. 移送症例は入院治療を受けさせるまでに時間と労力を要する反面, 治療への導入は比較的スムーズで, 治療成績も比較的良好であった. 法第34条による移送制度は, 病識なく病勢が増悪する中で受療行動をとることができない患者の医療アクセスの手段として, 有効な制度であると考えられた.
  • 藤原 清宏, 江川 勝士
    2006 年 60 巻 2 号 p. 92-97
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    第1例目の症例は83歳の女性で, 咳, 喀痰, 発熱のため受診した. 両側の肺炎と右中葉の肺癌と診断された. 抗菌剤で治療した後, 放射線治療が行われた. 1年後, 胸部CT像で多発性の肺転移が認められ, ゲフィニチブ投与された. 初めはゲフィニチブを毎日投与してが, 重篤な有害事象のため3日目ごとの投与とした. 肺転移は治療開始1ヵ月後消失していた. 第2例目は74歳の女性で, 右胸水のため入院となった. 右下葉の肺癌と癌性胸膜炎と診断された. ドレナージ後に胸膜癒着術を施行した. 4ヵ月後に症例は左胸水と癌性リンパ管症のため呼吸困難をきたし入院となった. ゲフィニチブの治療で呼吸困難は速やかに改善した.
  • 阿部 憲男, 清水 博
    2006 年 60 巻 2 号 p. 98-101
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国立療養所岩手病院は, 医師の名義を借りて診療報酬を不正受給したことにより平成12年6月1日に保険医療機関取消処分を受け, 3ヵ月後に再度保険医療機関として指定されたものの, 5年間にわたって, 標榜科と病床数の制限を受けた. 病院の存亡の危機に直面した時期に院長として務めたわれわれは, 職員の士気の昂揚を図り, 各人の意識改革を行うことに主眼をおいた. 岩手病院の存在の意義を明確にするために職員として何をなすべきかを明快で具体的な内容からなる「病院の目標と基本方針」を策定した. 一連の不祥事に学び, 「情報の共有」の重要性を認識し, 情報の共有の場として「診療支援委員会」を毎週1回開催した. また, 広大な敷地の環境美化を図り, その作業を通じて職員間の意思疎通を図ることを目的とした各職場の代表からなる環境整備の日を毎週1回1時間設けた. さらに, 従来の公務員像から脱却し職員の意識改革を行うために, 情報の共有, プラスα, 現場主義等のキーワードを盛り込んだ職員の行動指針として「十訓」を定めた. 以上の4つを, すべてに優先して病院運営の基本的な4本柱とした. その結果, 重症児(者)病棟では, 全国の国立療養所に先駆けて1週間の入浴回数を2回から3回に増やすことを実現し, 夕食の喫食時間の繰り下げ, 病棟配膳から中央配膳への変更, 在宅重症児(者)の短期入所の著明な増加, 食形態の見直し等へと繋がっていった. 病院全体としては, 独法移行後に労務系職員が本来業務を超えて職種横断的な機能的単位である「サービス班」を形成して, 班全体として院内清掃, 洗濯物の整理, 環境整備, 建物設備の補修等に当たる業務へのスムースな移行が可能になった. 看護業務を軽減するために, 看護課への各職場の協力体制が出てきた. 今後は, 国立病院機構の掲げる質の高い医療を遂行するためには, 病院を変えるリーダーとなりうる医師の確保こそが最大の課題である.
  • 佐々木 康夫, 小川 賢二, 山岡 朗子, 中川 拓, 西本 泰浩
    2006 年 60 巻 2 号 p. 102-105
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれは, 遠距離の医師が, 画像を共有しながら会話をし, 臨床カンファレンスが行えるシステムの構築を目的として, POLYCOM社製のテレビ会議システムVSX7000と, WOLFVISION社製書画カメラVZ-9のシステムを作り, 胸部単純X線像, 頭部MRIとCT像, 入院カルテから(検査伝票, 心電図シンチ写真)をシステム間で伝送し, 伝送時間, 画質などの問題点を検討した. 胸部単純像は上肺野, 下肺野, 縦隔, 肋骨, と各部分に分けて読影する必要があり, 肺野の拡大像は細い血管陰影が解像度の関係で, つぶれてしまい, 読影上問題があった. 頭部MRIは最大ズームで脳白質の最小ピクセルが誇張され, 散在する黒の点として見えるので, 受信側に予備知識が必要と思われたが頭蓋内構造物の読影には十分であった. カルテの検査伝票は9ポイント程度の文字, 色ともに読みとれ問題はなかった. 心電図心筋シンチ写真も絞りの調節が必要であるが, 十分に読影可能であった.
  • 谷山 清己
    2006 年 60 巻 2 号 p. 106-111
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    遺族から剖検の了承を得る際, 剖検診断結果をどのように伝えるかについて遺族に尋ねることはほとんどない. 遺族にとって剖検は, その行為のみでなく診断結果通知までが含まれると解釈するのが当然であり, 診断結果がどのように伝えられるかという方法に複数の選択肢があることを説明された上で剖検を承諾することを前提とすると, 剖検について十分な説明の上での承諾(インフォームド・コンセント)は不十分な状況である. 呉医療センター・中国がんセンターにおいて実施した剖検54例の遺族に対して, 剖検診断結果を伝える方法への要望を剖検直前に調査した結果, 剖検直後に受けた主治医からの説明と剖検診断報告書の内容がほぼ同様な場合は, 1) 改めての説明や報告書送付は必要ないが17例(31.5%), 2) 報告書の簡単なまとめが欲しいが15例(27.8%), 3) 報告書のコピーが欲しいが14例(25.9%), 4) 改めて説明をして欲しいが12例(22.2%)であり, その場合, a) 主治医からの説明を12例中8例(66.7%)が希望し, b) 病理医単独からの説明希望はなく, c) 主治医と病理医の両者からの説明希望が4例(33.3%)であった. 一方, 剖検直後に受けた主治医の説明と剖検診断報告書の内容に重要な隔たりが見られた場合, 4) 改めて説明をして欲しいと要望する遺族は, 23例(42.6%)であった. この要望に具体的に対応することは, 病理医にとって剖検業務の効率化につながる. また, 病理医からの説明を受けた遺族が, 生前の医療に対して納得する姿を見て, 臨床医は病理医へ感謝し, 病理医は前2者の納得と感謝に触れて剖検を行う意義を再認識する.
  • 多田羅 勝義, 福永 秀敏, 川井 充
    2006 年 60 巻 2 号 p. 112-118
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    全国27施設の筋ジストロフィー病棟入院患者および在宅人工呼吸例のデータについて, 1999年から毎年1回実態調査をおこなってきた. その結果, 毎年2,000名以上の患者が入院していることが判明した. 各調査年度とも最も多い型はDuchenne型, 次いで筋強直性であったが, 2004年度調査ではおのおの817名, 387名であった. 入院患者のうち約20%が筋ジストロフィー以外の疾患であった. 入院患者中人工呼吸実施者は, 1999年度には810名(38%)であったが, 2004年度には1,081名(50%)と, 毎年増加傾向にあった. Duchenne型に限ると, その増加はさらに著しく, 1999年度の59%から2004年度には75%に達していた. 在宅人工呼吸例も年々増加しており, 2004年度には481例であった. 栄養方法をみると80%の患者で経口栄養が続けられていた. ただし今回の調査結果からは, 栄養学的に充分であるか否かの評価はできなかった. Duchenne型の死亡例は195例(2000-2004年)であったが, 最も多い死因は心不全, 次いで呼吸不全であった. また死亡時年齢は27.5±6.3歳(M±SD)であった. 筋強直性の死因においては, 呼吸不全, 呼吸器感染症が目立った. 施設により, 入院患者におけるDuchenne型, 筋強直性の比率が著しく異なっていた.
  • ―胆道系疾患のチェックポイント―
    山口 秀樹, 岩下 浄明, 上條 敏夫, 武山 茂, 高須賀 康宣, 中島 哲, 水島 美津子
    2006 年 60 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 2006/02/20
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
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