医療
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わが国におけるリンパ脈管筋腫症の現状
久保 惠嗣
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2006 年 60 巻 9 号 p. 545-549

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抄録

リンパ脈管筋腫症lymphangioleiomyomatosis(LAM)は, 妊娠可能な女性に発症するまれな疾患で, その本態は平滑筋様細胞(LAM細胞)が肺やリンパ管などで増殖する疾患である. わが国でのLAMの実態を平成15年-16年に行われた全国疫学調査でみてみると, 173例が集計され, 1例を除きすべて女性で, 有病率は人口100万人あたり1.2-2.3人の発生頻度で, きわめてまれな疾患と推定された. 発症年齢は若く, 55%の症例でホルモン療法を受けていた. 初発症状は労作時息切れ・呼吸困難, 気胸などであった. 気胸の合併率は73%と高く, 一例あたりの平均発症回数は2.1回であった. 治療を受けても不変・悪化が69%あり, 40%が在宅治療を余儀なくされ, 9例が肺移植を受けていた. 有効な治療法のないことを示唆している. 初発症状が労作時息切れの群が気胸の群より予後不良であった.

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