医療
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筋ジストロフィーの口腔・顎顔面領域の形態について
佐々木 俊明
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2007 年 61 巻 10 号 p. 645-651

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抄録

筋ジストロフィーの口腔・顎顔面領域の形態, すなわち, 歯列弓, 咬合関係, 咀噛筋, 舌等の軟組織の形態について, Duchenne型(DMD), Becker型(BMD), 肢帯型(LGMD), 顔面肩甲上腕型(FSHD), 筋強直性ジストロフィー(MyD)の5つの病型について検討した. 歯列弓ではDMDで上下顎の幅径が増大し, 上下顎長径は減少した. MyDでは男女とも上顎幅径が減少した. 不正咬合では, 開咬がDMDで69.4%, MyDで56.7%に認められた. また, 反対咬合はDMDで59.7%, MyDは43.3%, さらにFSHDでも54.5%に認められた. 咀噛筋のX線CT所見では, 咬筋, 内側翼突筋のCT値からMyD, DMD, BMDで筋障害が顕著であり, FSHDではこれらの筋は障害を受けていないことが示唆された. 断面積からは, MyDで筋萎縮が認められたのに対しDMD, BMDでは偽性肥大が示唆された. 舌のCT値からMyD, DMDで著しい筋障害が示唆された. これらの結果から, 口腔・顎顔面領域の形態は病型により違いがあることが示唆された.

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