医療
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筋ジストロフィーの口腔・顎顔面領域の機能について
佐々木 俊明
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2007 年 61 巻 10 号 p. 652-657

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抄録

筋ジストロフィーの口腔・顎顔面領域の機能, すなわち, 最大咬合力, 咬合状態, 咬合面積について, Duchenne型(DMD), Becker型(BMD), 肢帯型(LGMD), 顔面肩甲上腕型(FSHD), 筋強直性ジストロフィー(MyD)の5つの病型について検討した. また, 最大開口力はDMDでのみ検討した. 病型別最大咬合力はDMD, LGMD, MyD (p<0.01)およびBMD (p<0.05)で対照者に対して有意に小さい値を示した. FSHDでは対照者と同程度の咬合力であった. DMDの最大開口力の平均値は対照者のおよそ半分であり, 両者間には有意差が認められた(p<0.01). DMDでは, 最大開口力, 最大咬合力ともに, 10歳前から対照者より小さい値を示し, 開口筋群, 閉口筋群ともに筋力が低下していることが示唆された. しかし, 筋力低下はあるものの, 年齢の増加にともない最大開口力および最大咬合力も大きくなる傾向を示した. 咬合面積では, DMDとMyDで小さい値を示した. 以上の結果から, DMDとMyDは, 他の病型に比べ咀噛能力が低下していることが示唆された.

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