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筋萎縮性側索硬化症の摂食・嚥下障害
―ALSの嚥下・栄養管理マニュアル―
市原 典子
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2007 年 61 巻 2 号 p. 92-98

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抄録

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の嚥下・栄養障害への対策はいまだ不十分であるため, 厚生労働省精神・神経疾患研究委託費「政策医療ネットワークを基盤にした神経疾患の総合的研究」研究班嚥下小グループの研究において, ALS嚥下・栄養管理マニュアルおよびアルゴリズムを作成した. マニュアルは, 外科的処置や人工呼吸管理を希望されるALS患者を基準に作成され, 嚥下障害の段階は, ALS機能障害尺度嚥下部分ALS functional rating scale swallowing Part(ALS FRSsw)を基準とした. FRSsw4でのポイントは, 初診時から嚥下・栄養・呼吸のモニタリングを行い, 障害が軽度な時期から摂食指導・嚥下食指導などの介入を行うことである. FRSsw1-3では, 各段階に応じた指導を進めるとともに, 経管栄養法の選択と導入時期の決定がポイントとなる. 経皮内視鏡的胃瘻造設(PEG)の時期に関しては, 呼吸機能との関係が重要である. FRSsw 0でのポイントは, 適切な栄養管理と, 外科的治療法の選択および手術時期の決定である.

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