医療
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パーキンソン病の摂食・嚥下障害
野崎 園子
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2007 年 61 巻 2 号 p. 99-103

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抄録

パーキンソン病の摂食・嚥下障害の特徴は, 患者の約半数に嚥下障害が存在し, 病初期から存在することもあり, 身体機能の重症度とは必ずしも関連しないこと, 摂食・嚥下障害の自覚に乏しく, むせのない誤嚥が多いこと, 摂食・嚥下の各相にわたる多様な障害があることである. 抗パーキンソン病薬の副作用としてのジスキネジア, 口腔乾燥, off症状が摂食・嚥下機能を悪化させることがあり, また, 自律神経障害による食事性低血圧では, 時に失神するため, 食物を窒息するリスクがあることなどがある.
その対処法としては, 患者の訴えがなくても, 疑いがあれば嚥下機能を評価し, “On”時間を延長させ, “On”時間帯に摂食させるように抗パーキンソン病薬(とくにL-ドーパ)を調整する. また積極的に嚥下訓練を行うとともに, 必要に応じて, 補助栄養や経管栄養, 外科的介入を行う必要がある.

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