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リハビリテーション医療における言語聴覚士の現状と課題
大石 廣
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2007 年 61 巻 5 号 p. 324-327

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抄録
南岡山医療センターの言語聴覚療法室は, 1982年に開設されている. 当初の目的は喘息, ネフローゼ等を発症した発達障害患児の評価, 指導にあった. 1984年から, 脳血管障害患者や神経筋難病患者の言語機能の指導と訓練, 2004年には嚥下造影検査によるアプローチ等を開始し, 当院の言語聴覚療法の専門性は高まりつつある. また近年, 日本医療機能評価機構のリハビリ評価項目では, 言語聴覚士配置への言及や栄養サポートチーム(NST)への関わりが求められており, 言語聴覚療法に大きな関心が寄せられている.
しかし周知のように, 言語聴覚療法の国家資格化が遅れた中で, 旧国立病院や療養所では, 定員配置は難しく非常勤言語聴覚士の採用さえ儘ならない状況が長く続いた. 1998年国家資格となり, 言語聴覚士を巡る環境は診療報酬の担保等大きく変化しているが, 依然として国立病院関連施設で言語聴覚士の配置病院はわずか29カ所という現実も改めて直視せざるを得ない. リハビリテーションの理念は単にWHOの障害観にとどまらず, 具体的な行動を通して意味あるものとなる. したがって, リハビリテーションに関わる多くの専門職が連携し, 実践を重ねることがリハビリテーションの発展にとっても大きな意義を持つものと考える. 今, 高齢化社会を迎え, そのチームアプローチの円滑化はきわめて大きな課題であり, そのためには各職種の役割と業務の内容を明らかにすることが大切であると思われると共に言語聴覚療法の必要性の広報等が重要であると考える.
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© 一般社団法人国立医療学会
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