社会科研究
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社会科における批判的参加学習としての授業構成 : 小学校第4学年「安全なくらしを守る人たち」を例に
松浦 雄典
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2013 年 79 巻 p. 37-48

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抄録
本研究は,社会科教育における新たな社会参加学習の変革の方向性を示すことを目的としている。現在,多くの市民が地域社会の再生や生活改善のような問題を「社会参加」という方法で解決しようとしている。この「社会参加」の風潮は,学校教育においても注目されている。特に,社会科においても子どもを地域に関わらせ,地域の問題を解決しようと行動を起こす社会参加学習が実践されている。しかし,子どもに社会との一体化を求め,参加行動に同化させるという課題がある。そこで,この課題を克服するために,参加行動を批判的に捉え,その在り方を多様に拡げる新たな参加学習論を構築する。その目的を達成するために,以下のような手立てをとった。1)社会参加学習には,目標の差異により,二つの異なるアプローチがあることを明らかにした。つまり,社会と一体化し,行動することを学習目標にする「実践的参加学習」と,社会を対象化し,認識形成を学習目標にする「批判的参加学習」である。2)批判的参加学習の授業構成の論理は,「参加行動の分析」,「参加主体の多元化」,「参加の仕方の意思決定」により説明することができる。3)批判的参加学習の授業構成に基づいて,小学校第4学年単元「安全なくらしを守る人たち」を開発し,実践した。
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© 2013 全国社会科教育学会
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