コネクショニストモデルを用いて, 2次元領域のパターンを識別する問題について考察する.適当な数の中間ユニットを配置した従来の多層ネットワークによる識別ではパターン領域が複雑になるにつれてその識別能力は低下し, 中間ユニットの数や学習例を増大させてもその識別性能は改善されないことを示す.また, 一般に非線形の複雑な決定領域におけるパターン識別システムをコネクショニストモデルにより実現するためにはシグモイドのような単調な非線形関数のユニットだけでは不十分でチェビシェフ関数のような非単調関数を持つユニットとの組み合わせが必要であることを示す.従来のモデルに代わるものとしてチェビシェフネットワークという新しい多層ネットワークアーキテクチャを提案する.パターン領域の境界曲線をチェビシェフネットワークに学習させ, その出力値の論理結合により識別する方法および領域の境界曲線近傍における対象領域内外のいくつかのパターンをチェビシェフ関数により非線形変換し, それらを正負の学習例として学習・識別させる二つの方法について提案する.いずれの方法においても新しく提案したチェビシェフネットワークによる識別方法は, 一般にパターン領域の複雑性に依存しない優れた識別性能を有することを示す.