システム制御情報学会論文誌
Online ISSN : 2185-811X
Print ISSN : 1342-5668
ISSN-L : 1342-5668
行列ポリトープの安定度下界とその応用-離散時間の場合
小亀 英己木田 浩森 武宏
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 5 巻 1 号 p. 18-23

詳細
抄録

システムの特性行列が不確定性をもっており, あるポリトープの要素であるとしか知られていない場合のロバスト安定性の研究は実システムへの応用という観点からも重要な意味をもっている.本論文の立場は, 安定性の定量的概念である安定度を行列ポリトープに対して定義し, その安定度下界の評価法から安定判別法を与えようとする.
本論文では離散時間システムを対象とする.すでに報告した連続時間系に対する下界評価法が離散時間系の場合にもほぼ平行した形で得られることを確かめる.すなわちm個の正定値対称行列とポリトープの頂点集合 (k個の要素をもつとする) から定まるm×k行列Fを計算すれば, これを支払い行列とするある零和二人ゲームの値として安定度下界が得られる.またロバスト安定解析法として見たとき, このゲームの最適解としてポリトープに共通なリアプノブ関数が得られることも連続系の場合と同様である.また大規模不確定システムの安定解析への適用可能性を示した.

著者関連情報
© システム制御情報学会
前の記事 次の記事
feedback
Top