女子刑務所において女性刑務官の早期離職率が問題になっている。本研究では,女性刑務官の育成モデル作成に必要な要因の検討につなげるために,刑務官を続ける女性が,早期に離職することなく,女性刑務官としてのやりがいをどのように見出してきたのかその過程を女性刑務官自身の視点から検討した。 研究方法として,女子刑務所で勤務する女性刑務官5名を対象に個別インタビューによる半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて逐語データの分析を行った。 分析結果から,24個の概念が生成され,概念間の関係性から5個のカテゴリーに収斂され,女性刑務官としてのやりがいを見出すまでのプロセスには,4つの段階のあることが明らかにされた。こうしたプロセスを通じて,女子刑務所に採用された女性は,生涯的な職業として刑務官を継続できる人生設計の見通しを持つことができれば,早期に離職することなく,専門職としての役割を発揮できる処遇力の高い女性刑務官として育成されることが示唆された。