抄録
染料昇華型レーザー熱転写記録の特長である高解像度画像での濃度階調表現を理解するために,時間分解観察に基づいて染料の転写機構を検討した.まず,レーザー照射時のインク層の時間分解観察からインク層の物理変化開始時間を求めた.そして,層内の過渡温度分布の数値解析により,インク層溶融開始時の表面温度が染料の融点にほぼ一致することを示した.次に,インク層の物理的過渡挙動を表す指標となるリム径および穴径について,エネルギー密度分布の変化からその径を記述する予測式に,熱拡散およびエネルギー損失を考慮した補正を施すことにより,測定プロットに正確にフィッティングさせた.これら時間分解観察により明らかになったミクロな応答特性から染料転写量を予測する簡単なモデルを導入し,スポット径を変化させて濃度階調特性を計算した結果,実際の染料転写による濃度階調特性と定性的に一致させることができた.