金属積層造形 (additive manufacturing, AM) は任意の形状の金属造形物を作成できるため,徐々に産業応用が始まっている.金属AMの課題は造形コストと造形物の信頼性にあると考えられ,これらが改善されればその適用範囲を広げられる.金属AMの製法の一つにPBF (powder bed fusion) がある.PBFは造形速度が遅いものの微細な造形と得意としており,従来の加工法では作れない形状を作成できたり,後加工を減らせる等の利点があるため精力的に研究開発が進められている.PBFの資源と時間を含めた省コスト化と造形物の信頼性の向上のため,インプロセス検査技術が求められている.PBFの造形環境に適応できる検査技術として,非接触に超音波の励起,検出ができるレーザー超音波 (laser ultrasonic, LU) が有力である.そこで,本解説記事では,インプロセス検査装置を組み込んだPBFの概念と,その要素技術の開発例を紹介する.LUを用いて積層造形物の表面下の (表面からは見えない) 欠陥の検出例と,鉛フリーはんだの固相と液相の相転移の音響特性を評価した例を紹介する.
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