抄録
協調視覚モデルを用いた新しい客観的画像ノイズ評価法が提案される.協調視覚モデルは視知覚応答の動的変化特性をシミュレートするのに適したモデルであり,客観評価には,画像ノイズに対する本モデルの応答出力から構成された評価尺度が用いられる.本提案評価法の有効性を検証する為に,均一濃度パッチ画像に対するディジタルカラー複写機出力画像のノイズ評価に適用し,以下の結果が得られた.(1)協調視覚モデルの応答特性から,画像ノイズに対する視覚系の応答・知覚状態(ノイズ知覚)が視点位置に依存してどの様に変化するかが理論的に予測できる.(2)協調視覚モデルからの応答出力である評価関数値の対数2乗誤差と主観評価値の間の相関係数が絶対値で0.96以上となり,両者は良い対応関係を示す.以上の結果は,本提案手法が客観的画像ノイズ評価法として有効であり,主観評価時に生じる視知覚応答特性が本評価尺度に適切に反映されていることを示唆している.