抄録
MFPの製品開発において,副産物となる温度上昇を推測するのに数値計算が有益である.電子機器と本体に分類し,現状での手法を紹介する.電子機器の冷却に関しては,CFDツールの性能向上が著しい反面,境界条件である素子の発熱量を予測する術が定まらない.著者は発熱量に応じた系を数値計算で探求することで,実験を最小限に抑えている.本体の冷却に関しては,紙が熱伝達媒体となり,エンジン部や筐体領域内が温度上昇する非常に複雑な系である.局所的な冷却,排熱,オゾン排出量を考慮するだけでなく,低コストな部品構成を開発期間に併せて提案することが要求される.そこで,定着後の紙温度経過,トナー挙動が影響する領域温度等の,予測が困難な現象を,簡易な経験モデルとして取り扱う.