日本画像学会誌
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総説
潜在顔料
—水素結合系顔料における可溶化技術と顔料再生化プロセス—
水口 仁
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2005 年 44 巻 5 号 p. 347-355

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抄録

水素結合系顔料として知られるピロロピロールならびにキナクリドン顔料の可溶化技術とそれらの親顔料への再生化プロセスを概観し,画像分野等に応用する際の問題点を論じた.潜在顔料の技術は固体状態におけるNH…O分子間水素結合を意図的に分断し,まず顔料を溶剤に可溶化する.次に,加熱等の手段により再生化し,透明性の高い「顔料ナノ粒子」の形成を目指したものである.しかしながら,再生化によって得られる顔料は親顔料の結晶構造とは必ずしも一致しないこと,色調も異なること,さらに耐光性,耐熱性にも問題があることが分かった.更に,再生化の過程で発生する炭酸ガスが顔料分散膜の透明性を損ねることも指摘された.

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© 2005 一般社団法人 日本画像学会
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