抄録
中間転写ベルトシステムにおいて,転写チリのモデル実験による解析とシミュレーションを実施した.平行平板で転写領域を模したモデル実験装置で,非画像部電位と放電,転写チリの関係を観察したところ,非画像部電位が0V に近いとトナーチリが多くなることが判明した.また非画像部電位が-300V 以下では放電が発生し,転写チリが少なくなる傾向が確認された.この結果を理論的に解析するために,3次元シミュレーションを実施した.トナーに作用する力を精度よく計算するために,電極が形成する電場にトナー電荷が形成する電場を重ね合わせて転写領域の電場や電位分布,トナーに作用する力を計算するモデルを提案した.本シミュレーションによって,非画像部での放電が発生する前に一部のトナーは転写を開始し,静電反発力によってトナーチリが形成されることが明らかになった.本条件下では,放電よりも先にトナーの転写が始まり,転写チリが形成されていることが判明した.