日本画像学会誌
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原著論文
転写プロセスにおけるトナー層内放電モデル
前田 昌孝西脇 健次郎前川 克廣竹内 学
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2007 年 46 巻 3 号 p. 178-183

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抄録
電子写真の静電転写プロセスにおいて,ニップ中のトナー層内の放電が転写効率に及ぼす影響を簡易に見積もる計算モデルを提案した.本モデルは,感光体,トナー層,転写媒体とその間の空隙による層構造を1次元で扱い,電荷によって空隙に形成される電界をPaschenの法則による放電電界と比べて放電電荷を移動させるもので,放電後のトナーの電荷に加わる静電気力で転写効率を見積もる.このモデルによって単層転写において過度な転写バイアス電荷による放電が転写効率を低下させる現象,転写後にトナー帯電量が増加する現象,カラー画像プリントの際の多層転写における既転写トナー帯電量が転写効率に与える影響を表現できることを確認した.また,実測定の困難なトナー層内の放電の程度を見積もることができた.これらの結果から,本モデルが静電転写プロセス時のトナー帯電量,トナー間空隙,転写バイアス電荷をパラメーターにしたトナー層内の放電,転写効率の予測に有効であることを示した.
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© 2007 一般社団法人 日本画像学会
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