2011 年 50 巻 5 号 p. 410-414
発色剤として硫化カルシウム水溶液を用いた,銀ナノ粒子薄膜の新規な方法について報告する.著者らは,硫化カルシウム水溶液に銀ナノ粒子薄膜を浸漬すると,シルバーから黄色,濃い黄色,紫色,青色,緑色へと変化することを発見している.このとき色変化のパラメータとなるのが,硫化カルシウム水溶液の温度と銀ナノ粒子薄膜の浸漬時間であり,これらをコントロールすることにより様々な色を発現できることがわかった.また,走査型電子顕微鏡観察によって,銀ナノ粒子薄膜の発色は,銀ナノ粒子の粒径変化に起因することがわかった.この新規発色法は簡便で実践的であることから,様々な分野での応用が考えられる.例えば,硫化カルシウム水溶液で銀ナノ粒子薄膜に文字や画像を書込むことによって,画像形成材料としての応用が期待できる.