日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
Print ISSN : 1344-4425
ISSN-L : 1344-4425
Imaging Today
色と認知科学 ―高次視覚認知における色彩の効果―
川端 康弘川端 美穂笠井 有利子
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 50 巻 6 号 p. 522-528

詳細
抄録

シーンの再認,シーンのgist (本質的情報),物体やシーンの変化発見や変化見落としといった高次視覚で扱われる現象の認知モデルにおいては,伝統的に無彩色の輝度情報の役割が強調され,色情報の貢献はあまり考慮されてこなかった.しかし最近,行動学的研究,ニューロイメージング研究,心理学的研究といった認知科学の諸分野で,対象物の表面色やシーン全体の配色が,認知に影響を及ぼすことが示されている.この論文では,どのような条件下で色が高次視覚の働きに影響するかを扱った研究を紹介して,この働きを媒介するであろう神経基盤についても言及する.また色の知覚や再認において見られる個人差は,高次視覚の可塑性の高さに起因するのかもしれない.色と認知の関係性は,高次視覚のモデルの中でもう少し焦点をあてて扱うべきだろう.

著者関連情報
© 2011 一般社団法人 日本画像学会
前の記事 次の記事
feedback
Top