2013 年 52 巻 2 号 p. 142-146
インクジェットは,写真画像出力の重要な技術の一つである.
初期の染料インクに対応して開発されたマットコート紙は,顔料インク,フォトインクといった新インク,誤差拡散に代表される新しいハーフトーン制御技術への対応で変化しつつも基本構成は大きく変わることなく,汎用性の高いメディアとして今日まで存続している.
写真画像出力は,その後開発されたマイクロポーラスタイプが主流となり,追いかけてきた銀塩写真に画質でも見劣りしないレベルに到達した.しかし,写真出力環境を大きく変化させたインクジェット技術ではあるが,画像ビューアーとしてのライバルは,既に銀塩写真ではなく,液晶に代表される電子媒体に代わってきているのも事実である.
インクジェット記録メディアとしての高画質化対応の基礎技術は,マットコート紙の開発で培われたものも多い.