抄録
公共空間に設置されているサインの「見やすさ」の要因については,以前から図と地の分離,配色間の輝度差など視認性の評価を中心に検討されてきたが,公共空間というシーンの中では,「見つけやすい」だけではなく,「読みやすい」,「分かりやすい」といった要素についても調査する必要がある.またシーンや物体の認知には,知覚的な側面以外にも,特定の色との連想度の強さといった既知の情報からのトップダウン処理も影響を与えている.ここでは人間の認知機能や視覚特性にも焦点を当て,公共サインのデジタル化に伴う新たな「見やすさ」の観点を検討した.