日本画像学会誌
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Imaging Highlight
リアリティ豊かな映像を目指して~高フレームレートとマイクロ立体視映像の魅力~
黒木 義彦
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2015 年 54 巻 6 号 p. 619-628

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抄録

映像の持つリアリティを高める要素として特に高フレームレートとマイクロ立体視に着目し,心理物理学手法による主観評価実験および脳波計測による客観評価実験を行った.その結果以下のことを確認した.  240fpsのフレームレートは,動画ボヤケやジャーキネス等に対するヒトのほぼ知覚限界をもたらし,こうした動画質劣化の問題を解決する.  立体映像の奥行き感はフレームレートが高くなることに従って,より正しく知覚される.  240fps単眼レンズ光学同時分離型3D光学系を搭載したカメラ,240fps表示装置,映像編集システムを開発した.それらを用いて制作した240fpsマイクロ立体視映像は,滑らかな動きと自然な立体感をもたらす.  240fpsの移動映像刺激に対する脳波は,60fpsの同様の刺激に対する脳波に比較して,実体の移動刺激に対する脳波に近い特性を示す.すなわち高フレームレート映像は,ヒトに対して,自然界を見ている状態に近い脳活動をもたらす.  今後以上のような映像研究の探求を継続しより良い品質の映像の実現に結びつけていく必要があると思われる.

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© 2015 一般社団法人 日本画像学会
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