粒子法の一つであるMPS (Moving Particle Semi-implicit) 法を用いて定着ニップ内でのトナー溶融過程をシミュレーションした.計算格子を用いない粒子法は弾性体の大変形や自由表面流れを扱いやすく,計算点を弾性解析対象か流体解析対象かに切り換えることで固液の相変化や構造流体連成解析を容易に行うことができ,定着ニップ内で弾性体のトナーが相変化し流体として流動する状態をシミュレーションすることができる.この方法を用いることで,定着ニップ内でトナーが溶融し流動する過程を再現し,各種定着条件の影響を把握することができた.また,表面張力モデルと接触角モデルを組み込むことで,溶融トナーがヒートローラー表面へ付着する状態をシミュレーションすることを試みた.今回はMPS法,その高精度化手法と解析結果について報告する.