2017 年 56 巻 4 号 p. 366-373
臨場感の高いコンテンツ視聴環境として,高精細プロジェクタと高度なサラウンドを用いた4Kデジタルシネマ,更にはメガネ式3D映像を用いた3Dデジタルシネマが広く一般化し,ビジネス的にも定着してきた.それに伴い,近年,これまで以上に臨場感の高いコンテンツや体験を提供する取り組みが始まりつつある.
我々はこれまでに,あたかもその場にいるかのような超高臨場感をリアルタイムに世界へ配信するイマーシブテレプレゼンス技術“Kirari!”のコンセプトを打ち出し,臨場感の高い映像音響提示系技術と共にリアルタイムに世界にメディア配信する取り組みを始めている.
ここでは,Kirari!の概要と合わせて代表的な要素技術について述べると共に,精細度や精度など物理的スペックを中心とした従来の臨場感の比較·評価指標の枠を超えた,人の感覚や感性にも踏み込んだ臨場感評価の取り組みについても述べる.