スマートフォンに代表される小型デバイスに画像を取り込むため,カメラやセンサーの搭載は必須となっており,その数は増加する一方である.これらデバイスの更なる薄型化に対してカメラモジュールが与える影響は大きく,カメラモジュールの小型化,薄型化がデバイス全体のサイズを決めている.カメラの更なる高機能化,小型化について市場のニーズは強いものの,既存のレンズ材料物性では実現不可能であった.
三菱ガス化学(株)は市場のニーズに応えるため,特殊ポリカーボネート (ユピゼータ®) を開発した.材料に求められる性能を十分に調査し,原料であるジオールモノマーの種類と配合を変えることで,分極率の異方性低減による低複屈折性と,芳香族炭化水素の構造に起因する高い屈折率 (nd>1.60) を有する樹脂を得た.この高屈折率樹脂は収差補正用のレンズとして上述のカメラモジュールに使われており,その優れた光学特性から,モジュールの小型化,ひいてはデバイス自体の薄型化や小型化に寄与している.