インクジェット方式による画像形成プロセスにおいて高品質な画像を得るためには,インク液滴の濡れ拡がり,合一挙動を把握し制御することが重要である.しかし,液滴の挙動が微細かつ高速であることから汎用的な測定技術は確立されていない.筆者らは,自由表面の解析に有利な粒子法のひとつであるMPS法に着目し,これらの挙動を予測するための数値解析技術の研究を進めている.前報では,MPS法に新規な表面張力ポテンシャルモデルを導入し,インク液滴の濡れ拡がり挙動および二液滴の合一挙動を定量的に再現したことを報告した.本研究では,前報時に課題であった接触角25度以下の親水条件での液滴挙動の計算精度を向上するため,三相界面での釣り合いモデルや表面粒子の高精度判定アルゴリズムを新たに構築した.これにより接触角7度から120度の広範な条件での濡れ拡がり挙動を定量的に再現した.また,本技術を用い,インクジェット方式での代表的な画質欠陥であるスジ課題のメカニズムと,スジを抑制するための設計指針を明確化した.