2021 年 60 巻 1 号 p. 28-36
高集積高効率化を極めた我々の社会は,新型コロナウイルスCOVID-19によって,変化を余儀なくされている.COVID-19の感染経路はヒトからヒトのみならず,物体上でのウイルスの生存期間の長さから,「物から人」へのルートも考慮する必要があるため,我々の生活の様々な場面で,界面活性剤や消毒用エタノールなどで物の表面を清拭することが一般的になっている.また一方で,印刷物の安心安全の観点や地球環境負荷低減の観点から,印刷インクの水系化が多方面で進んでいる.これに対し従来の印刷物では,消毒用エタノール等による清拭に対して十分な適性ないし耐性を備えていない.このため,本論では消毒用エタノールに耐性のある新規ポリエステルインクを適用することで,「物から人」への感染をより効率的に抑制できる印刷物に関して提案を行う.