2025 年 64 巻 3 号 p. 248-256
インクジェットプリントにおいて浸透過程が画質・印刷速度・表面形状などに影響することから,浸透挙動の解明・制御が求められる.しかし,既存の顔料インクの浸透挙動計測は紙表面に限定した観察が行われており,メディア内部の浸透挙動は未解明な点が多い.そこで本研究では,顔料インクの浸透挙動・顔料粒子の侵入挙動の解明を目的に,X線CT(computational tomography)を用いて,顔料インクの浸透領域・顔料粒子の侵入領域を非破壊で三次元計測した.特に,三種類の多孔質ポリイミドフィルムと,粒径の異なる二種類の模擬顔料インクを用いることで,メディア空隙径・メディア親水性・顔料粒子径が顔料インクの浸透・顔料粒子の侵入に及ぼす影響を検討した.その結果,メディアの空隙径が顔料粒子径より大きい場合には,メディアの毛細管力が強いほど,より多くの顔料粒子が密に侵入することが示された.また,メディアの空隙径と顔料粒子径がほぼ等しい,もしくは小さい条件下では,顔料粒子が空隙に詰まることで,インクの浸透が抑制されることが示された.