日本画像学会誌
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Imaging Highlight
創作の軌跡もまたアートであるKISEKI ART Project
井出 信孝加藤 哲朗
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2025 年 64 巻 6 号 p. 623-626

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抄録

本研究は,創作行為そのものに内在する価値を再定義することを目的とし,株式会社ワコムが株式会社Preferred Networks(PFN),株式会社セルシスと共同で推進する「KISEKI ART(キセキ・アート)」プロジェクトの研究成果の一端を報告するものである.ワコムは,「創作の軌跡もまたアートである」という理念のもと,クリエイターが描く・書く過程で生じる無数の筆跡や修正,偶然の重なりといった創作の軌跡を,ワコムのデジタルインク技術により高精度に記録し,PFNのAI技術によって解析・可視化する.これにより,アーティストの内的な思考過程や表現の変化を可視化し,創作者自身に新たな「気づき」をもたらすことを目指す.さらに,本研究では,クリエイターが持つ唯一無二の筆使いの特徴を抽出し,これを指紋ならぬ「絵紋(Emon)」として命名・定義する.絵紋は,創作過程に宿るエネルギーや感性の個性を象徴するものであり,創作そのものをアートとして位置づける新たな表現形態である.本研究は,アートとテクノロジーの融合を通じて,創造の軌跡を資産的・文化的価値として再発見し,創作体験そのものを拡張する新たな可能性を探求するものである.

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